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2017年3月27日 (月)

そば鳥が飛び立った

このほど銀座の名店「そば鳥(ソバチョウ)」が16年間の営業期間を以て閉店した。

それは我々銀座の同業仲間の間では知る人ぞ知る名店であった。なぜなら朝7時まで営業しているので、我々が仕事を終えてから集うにはうってつけのお店だったからだ。私がこのお店を個人的に名店と称する理由は、そのスタッフの稼働率にある。店内の客席数は最大50席くらいだろうか。そこをたった一人の年配の親父さん(たぶん経営者)が仕切っているのだ。厨房は客席からは見えないが、人の声が全く聞こえないことから、おそらく料理人も一人だけだろう。つまり店内は二人のスタッフのみである。それでいて食べ物を注文したら全品すぐに到着する。最大の驚きは、揚げ物を注文しても油で揚げる音が一切聞こえて来ないこと。しかも注文して数分後に卓上に並び、食感も見事なまでにサクサクしているのだから、それはまさに神業という他ない。

飲食店が「閉店」と聞くと、一般的には「潰れた」と考えがちであるが、実際にはそうとは限らない。経営者の年齢的なことや体調不良のためにやむを得ず閉店するのはよくある話だ。もう残すものは十分残したから、後は悠々自適に過ごす、という理由もあって然るべきだろう。

いずれにしても、閉店する前にその神業を伝授して欲しかったと、今更ながら悔やまれる。そう言えば、このお店はあらゆるメディアからの取材依頼は一切受けなかったそうだ。店のノウハウは全て社外秘ということなのだろうか。

テレビのバラエティ番組で採り上げられる名店も良いが、一切のメディア出演を拒む名店こそ、同業目線で見る限り「本物の名店」である。

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